冬場の暖房として多く使用されるこたつ。歴史上の登場は古く室町時代に囲炉裏の上に組んだ櫓に布団をかけたものから始まっています。
構造的には囲炉裏を掘り下げた「堀ごたつ」で、熱源は木炭、練炭や豆炭等が使われましたが、後に灰も利用されるようになり、江戸中期に火鉢を熱源にした「置きこたつ」が登場しました。

長く炭や灰が熱源であったこたつに電気が使われるようになったのは戦後の高度成長期。その後、温風を吹き出すものが登場したり邪魔になりにくい薄型の熱源が登場したことなどから、こたつを使用しない夏場も座卓として利用できる、居間に置いても違和感の少ないデザインの「家具調こたつ」が登場しました。

家具調こたつは一般的にこたつ布団を外しても座卓として使えるものを指して言いますが、実は「家具調こたつ」には具体的な定義がなく、普通のこたつとの区別は特にないのだそうです。従来のこたつは正方形のものが主流でしたが、家具調こたつは座卓としても使うことを前提にしているため、長方形のものが中心です。登場した頃は仕舞う必要がない事を揶揄する向きもあったようですがしっかり定着した辺り、家具調こたつは日本の住宅事情にあった暖房器具だったのかもしれません。